操作上の留意点
  • 開いたファイルの名前が、メインウインドゥのタイトルバーにフルパスで表示されます。
    ファイルを開くダイアログでは、サムネイルをポイントするとメッセージ欄にファイルの名前がフルパスで表示されます。
  • 入力欄への数値や文字入力は、Enter キーまたはマウスクリックで確定します。Tab キーで確定と同時に次の入力欄へ移ります。
  • マウスホィールでもウインドゥがアクティブなります。
    例えば、多目的コントローラでの操作後に、ワークビューをポイントして、ホィールで前進することができます。ウインドゥをアクティブにするために、いったんクリックする必要がなくスムースな操作ができます。
  • マウスホィールでスクロールする場合は、操作対象の上にマウスカーソルを移動してから、ホィールをまわします。
  • 入力欄をポイントしてから、ホィールで 1 づつ増減します。 Ctrl キーで 10 づつ増減、 Shift キーで 100 づつ増減します。
  • 入力欄での右ドラッグで数値を増減することができます。
  • スライドバーをポイントしてから、ホィールで 1 づつ増減します。
  • チェックボックスは、ボックスのクリックでのみ切り換えを行います。表題文字のクリックでは切り換わりません。
  • 各操作ウインドゥは、ツールバーと表示メニューで、表示と非表示の切換えを行います。
  • 表示メニューでウインドゥの整列を行います。標準と准標準と元のサイズが用意されています。
    元のサイズでは、フルスクリーンより小さめのメインウインドゥとなります。
  • カメラは回転コントロールを使用しません。 カメラを回転する場合は注視点を移動します。
  • スポット光ならびに平行光には回転コントロールを使用しません。 回転する場合は照射点を移動します。

利用手順

ARCRENDER Aren で、設計やデザインに必要なすべての3次元データを作成することはできません。 まず、CADソフトなどでモデリングを行うことになります。 ただし、設計上は不必要な樹木や人物などの添景や室内の家具や照明器具までCADで作成する必要はありません。 これらのオブジェクトは、ARCRENDER Aren のマルチメディア ライブラリ からドラッグ&ドロップでシーンに追加し、プレゼンテーションシーンの演出を行います。 最終的には、十分な解像度を持つ静止画像のレンダリングを実行してカラープリンタで印刷します。 また、ウォークスルーやオブジェクトの動きをともなうアニメーションを作成してプレゼンテーションを実現します。
  1. CADデータを受け取る

    まず、CAD やモデリングソフトで作成した3次元のモデルデータを受け取ります。
    プログラム内部に SaveAJF SDK を組込んでいる CAD は直接 ajf データを保存することができます。
    また、専用の取り出しプラグインをダウンロードする事で直接 ajf データを保存できるようになる CAD もあります。 その場合は、ARCRENDER Aren を起動してその ajf データを開くか、そのファイル名を引数としてCADなどの外部プログラムからARCRENDER Aren を起動することで、データの受け取りは完了します。

    その他の形式の FBX や 3DS や DWG/DXF などのファイルを変換して開く場合は、環境設定であらかじめパラメータを確認しておくことが大切です。 スケールは最も重要なパラメータです。 ARCRENDER Aren のライブラリオブジェクトは実寸で作成されていますし、テクスチャーマッピングも実寸を基準として適用しますので、正しくスケールを合わせて変換することが重要になります。

  2. データの確認と準備

    次に、開いたデータの内容とシーンの状況を把握し、データの準備を行います。 データ階層ウインドゥを使って、大まかなデータの構造やカメラの数、光源の数などを確認します。 この時点では、形状やシーンをよく認識できるように、色彩を薄いグレーなどに統一するか、カメラの設定でグレースケールを使用します。 最小限の光源を投影なしで使用し、その他の光源は消灯しておくと良いでしょう。

    カメラを自由に動かして、静止画像を作成するアングルやウォークスルーやフライスルーの経路などを大まかに検討しておきます。

    異なった材質やテクスチャーを適用したい部分は別のオブジェクトとして分離します。 また、同じ材質としたいバラバラのオブジェクトは、ひとまとめにしておきます。 同じ動きを与えたいドアと取っ手やガラスと窓ワクなどは正しく階層化します。 回転させたいドアや大きさ変更の利用を予定しているオブジェクトは中心を正しく設定します。

  3. カメラと光源の設定

    良いレンダリングを行うために最も重要なのはカメラと光源です。
    カメラの設定で最初に行うべきことは、ピクセルサイズの縦横比の決定です。 これにより見える範囲がかわり、プレゼンテーションの印象が大きく変わります。 具体的には、4:3 VGA 3:2 DVD 16:9 HDTV から選ぶか、その他の任意の比率を採用することになります。 また、見える範囲に影響する視野角の検討もこの時点で行うべきです。

    次に、どのレンダリング手法を使用するかの決定を行う必要があります。
    レンダリング手法により光源の設定は異なってきます。

    • 強化型レイトレーシング
      独自開発の高速レイトレーシングに、拡散光計算による正確でやわらかな影と、環境干渉を加えています。 影となる部分や光の当たっていない裏面が暗くなり過ぎないように配慮する必要があります。 室内の光源は必ずしも照明器具の個数分だけ設置する必要はありません。 通常は3個程度の光源で十分な効果を得られます。 天井に付ける点光源は、実際の照明器具の位置よりも下につけた方が良いレンダリング結果が得られます。
    • ハイブリッド ラジオシティ
      大域照明をラジオシティで、直接光をレイトレーシングで処理しています。 光源により生ずる影も、直接光による投影表現と大域照明による明暗表現が共存しています。
    • スタンダード ラジオシティ
      フォトンマッピングです。 レイトレーシングと異なり光源は個数分必要になり、位置も実際と同じである必要があります。 また、光源の形状もレンダリング結果に影響しますので、充分な配慮が必要になります。 ラジオシティは光線数を増やす事でリアルな表現となりますが、多くの計算時間が必要になります。 直接光の処理を行いませんので、囲われた空間となっていない外観などのレンダリングは得意ではありません。

    水平視を保持することを推奨します。 特に、少しの高さのズレは良くない結果を生ずる原因となります。 ビルなどの背の高いオブジェクトなどは、カメラのあおり調整を使用します。

    レンダリングはカメラごとに実行されますので、作成する静止画像やアニメーションと同じ数のカメラを設置し、適切な出力ファイル名を入力しておきます。

    投影方法は、光源ごとに指定します。 光源の明るさ調節はワット単位の擬似電球です。 光源が少なくシーンが暗い場合は、新たな光源を追加する前に、次の対応方法が考えられます。

    • すでにある光源の影の濃淡をあげる
    • すでにある光源の裏面の明るさをあげる
  4. 材質やテクスチャーの適用とオブジェクト配置
    マルチメディア ライブラリから材質やテクスチャーならびにオブジェクトをドラッグ&ドロップしてプレゼンテーションシーンを演出します。 レンダリング用に位置決めしたカメラを移動せずに、作業用カメラへの切換えをうまく利用するか、いずれかの静止カメラを作業用として決めて使用するのが有効な方法です。
    テクスチャー上に反射を与えたい場合などは色彩や模様を共用します。テクスチャーは、重ねて複数適用することができます。 ガラスの向こう側などにあるオブジェクトに材質やテクスチャーを適用したい場合は、手前のオブジェクトを非表示にするか、データ階層で目的のオブジェクトを選択してから、マルチメディア ライブラリのコンテキストメニューを利用します。
    シーン内の小さなオブジェクトは、テクスチャーを利用せずに、色彩を調整するだけで十分な場合が数多くあります。 暗い天井やテレビ画面などは、光源を追加せずに、放射色を与えることで十分に明るく表現できます。
    オブジェクトの配置は、必要に応じて、移動して位置を変えたり、回転して方向を調節します。 バーチャル樹木などの添景は大きさの調整を行うのも良い方法です。
  5. 静止画像のレンダリング
    印刷を予定している場合は、ご利用になるプリンタの性能を考慮して、印刷用のピクセル数を決めます。 初めから印刷に適した大きなピクセル数でレンダリングを行うことは、時間の無駄となってしまう事がよくあります。 最初は 1000 幅以下の小さなピクセル数のレンダリングを実行し、良い結果を得られた後に、2000 幅以上の印刷に適したサイズまでピクセル数を大きくします。 ジャギ取りを強くすると立体の境界線はなめらになりますが画像のシャープさは失われます。 またレンダリングに必要な時間も長くなります。 印刷に適したピクセル数を使用するまでは、ジャギ取りを強くするべきではありません。
    ファイルメニューから静止画像の印刷を選ぶか、イメージ ブラウザでダブルクリックして、印刷したい出力画像を表示します。 余白を入力し用紙いっぱいに拡大して印刷することができます。
  6. アニメーションの作成
    アニメーションの作成で最も重要なのは、ストーリーとシナリオの決定です。 つまり何を、どのタイミングで、どのように動かして、どのように見せるかを十分に検討し決定することです。
    ムービーカメラを選択するか、作成してから、アニメーション ディレクターを開きます。 アニメーションの長さを決めます。 時間スライダーを次のタイミングまで動かしてから、カメラやオブジェクトを動かし、キーフレームとします。 必要に応じて、必要に応じて、いっきに変化、だんだん早く、だんだん遅く、などのトランジションをキーフレームに与えます。
    ムービーの設定を行っている間はワークビューでのレンダリングを OFF にしておくのは良い方法です。 また、ワークビューでのスムーズな動きの確認を行いたい時に、必要なオブジェクト以外はいったん非表示としておくのも有効な手段です。 ある時刻でのレンダリング状況を確認したい場合は、レンダリングメニューからすぐにレンダリングを選びます。
    DirectX によるアニメーション作成は短時間でのムービー確認に効力を発揮します。 レンダリングの種類に Windows DirectX を選び、フレームレートを 5 程度にして、ピクセル数も320幅とし、ジャギ取りしない設定でレンダリングを実行します。 キーフレーム設定に満足できる結果を得られてから、フレームレートとピクセル数を上げレンダリングの種類も選び直します。 アニメーションのレンダリングでは静止画像のように大きなピクセル数でのレンダリングができませんので、必要に応じてより強いジャギ取りを利用します。
    時間軸はデータファイルごとに 1 つで、すべてのカメラに共通です。 カメラごとの時間軸ではありません。 静止カメラは、時刻=0 における各コントロールの状態を使用しています。 同じモデルで複数のアニメーションを作成したい場合には、複数のデータファイルを保存し、ファイル内にはムービーカメラを一つとするのも有効な方策となります。
    カメラの移動をともなうアニメーションの作成にはラジオシティは不向きです。 カメラの各位置での最適化処理がムービー上ではノイズとなってしまうからです。

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